豪華客船

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随分と以前のことになるが、

航海熱

に、
うなされたことがある。

あ、これ病名とかじゃなくて、

要は、

クルージングに憧れた時期がある

という話。

クルージングといえば、

1年かけて世界一周

というイメージであるが、

そのことを友人に話すと、

「退屈するよ~」

などと言われた。

「それもそうだな」

なんて妙に納得したものの、
一旦、興味が出たものを、
その程度で熱が冷めるはずもなかった。

その頃は、時々、
東京湾のクルージングだったり、

知人のクルーザーに乗せてもらったりして、
船にはちょくちょく乗っていた。

でも、私がいうのは、
そういうクルージングのことじゃなくて、
泊まりがけの
豪華客船のことを言っているのだから、
(タイタニックさながらの)

どうにか、

都合良く、経験できないものかと

世界の情報を色々集めることにした。

まだ、インターネットが
普及され始めた初期の頃だったから、
情報が豊富というわけにはいかない。

それでも
アナログ、デジタルの両方を駆使して
なんとか都合の良い船を見つけた。

それほど時間がかからず、
それほど大げさなものでなく、

ちょっとした海外旅行気分で
利用可能なもの。

とはいっても、
豪華客船でなければならない。

今は、その船もなくなってしまったが、
以前は、そういう選択も、
今より豊富だったかもしれない。

船長ご招待のパーティーもあるので、
フォーマルなドレスなども
バッチリ用意していよいよ出航。

乗船中は、

外国語のレッスンや、

ダンスパーティーもあれば、

ショーがあったりと、

何かと退屈しないように、
様々なイベントがあちこちで
開かれている。

とてもじゃないけど、
行き尽くせない。

それほど充実しているのだ。

いくつもあるレストランでは、
豪華な料理を、
いつでも、どれだけでも
和食、洋食限らず、
デザートからワインからと、
自由に選ぶことができる。

かけもちで、
イベントにレストランにと、
欲張り参加しようものなら、
部屋におとなしくしている暇など
ありはしない。

その船で、面白い経験をしたので、
次回は、それについて語ってみようと思う。

なんと、その船が、
嵐で、ひどい揺れに襲われたのである。

(続く)

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